オゾンと健康あるいは人体への影響

東京に住んでいると、「アクセス」のことばかりにフォーカスしてしまい、不動産系の広告などを目にしても自身の中に入ってくるキャッチコピーなどは、

たとえば、

「5路線利用可で便利な○○駅」
「最終電車の終着駅」
「始発駅だから座って通勤」
「人気の○○線沿線」
「都心へ直結、人気の○○線」
「都心へダイレクトにつながる○○線○○駅へ徒歩○分」
「ターミナル駅○○駅まで○分と交通至便」

などばかりですが、ひと昔前、地方の保養地などの不動産広告で「オゾンがいっぱい」というフレーズが流行ったことがあります。今では考えられないかもしれませんが、実際にあったのです。そのような時代が。このコピーは、澄んだ空気の中にオゾンが含まれ、その環境が健康に良いという意味で使われていました。

一方、労働衛生許容濃度として労働環境中の各種ガス成分が健康のために規定されており、オゾンも実はその成分として、労働環境8時間での許容濃度として0.1ppmの値が決められています。そのためか、当時はコピー機のランプからオゾンを生成していると一部の会社や事務所などで嫌われていました。実際、長時間この大気を吸っていると気分が悪くなる人もいました。(実際にそのために気分が悪くなっているか否かは不明ですが)





オゾンの人体への影響について

人は濃度0.01~0.02ppmでオゾンの臭気を感じ、生命が危険な状態となる高濃度まで、オゾンの曝露濃度と人体に対する生理作用が起こります。

低濃度の初期曝露による鼻、喉への刺激から、濃度が高くなるにつれて咳、頭痛、疲労感、慢性気管支炎、胸部痛、呼吸困難等と徐々に症状が重くなり、生命の危険な状況となります。
生物である人にもオゾン濃度と曝露時間の関係があり、場合によっては無毒性、毒性、致死領域などになったりすることもあります。

低濃度のオゾンでも長時間吸っていると、高濃度のオゾンを短時間吸ったのと同じ状況になります。つまり、オゾン濃度と時間の積によって症状が決まることになります。微生物の殺菌、ウィルスの99%を不活化するための値を溶存オゾン濃度(C)と接触時間(T)の積(CT値)で表現するのと同じです。


オゾンを含む大気中で作業を行い、喉の痛み、目の痛み、頭痛を感じても、現場から離れしばらくすると完全に治ってしまいます。軽い症状では後遺症としては残りません。塩素ガスでは、8時間の労働衛生許容濃度として1ppmが規定されている。これに比べオゾンの許容濃度は、より低い値が設定されています。

この理由は、オゾンが水に溶けにくく、鼻、口から吸い込んだ場合、オゾンが肺の奥まで入ってしまうためである。許容濃度5ppmの亜流酸ガスのように水に溶けやすいガスは、喉の粘膜に溶け、唾液の分泌、啖として排出されるが、水に溶けにくいガスではもっと肺の奥まで入ってしまいます。

酸化力の強いオゾンが肺の奥に入って細胞に作用するため他のガスより厳しい値となっています。長期間、高濃度のオゾンを吸い込んでいると、肺の中で形態学的な変化が起き線維病の症状が観察されています。この許容濃度について、現在でも動物実験を行いながら見直しの研究が進められており、もっと値を下げるべきとの意見も出ています。

しかし、低濃度にすると、もはや各種のガスを含んでいる今日の自然環境の大気では、その症状がオゾン単独の作用であるのかを決められない状況となっています。

例えば、自動車の排ガス、タバコの煙等の影響が分離できないためである。自動車の排ガスに太陽光戦が当たると、光化学反応によってオキシダントが生成する。クルマ社会として発達したロサンゼルスで光化学スモッグが知られ、日本でも1970年7月に東京都を中心に光化学スモッグが発生し、運動中の多数の学生に被害を及ぼしました。

大気汚染に関わる環境基準でオキシダントは1時間値が0.06ppm以下で、光化学オキシダントはオゾン、パーオキシアセチルナイトレート等の酸化性物質として規制されているのです。

「オゾンの危険性(あるいは安全性)」を語るえうで、情報が偏りがちなので、ここで念のため書いておきますが、一般の方々には「ガスは危険である」という認識をお持ちの方が多いと思いますが、オゾンよりよっぽど生活に密接しているのではないでしょうか。

ガスによる事故

労働災害として酸素の欠乏した場所へ入り酸欠状態でなくなる事故が多い。下水道、船倉、貯留タンク等での事故が起こりやすく、空気をファンによって送りながらの作業が行われています。
腐敗によって発生する硫化水素(労働衛生許容濃度10ppn)や、火山性噴出ガスの硫化水素を吸い込んで死亡する例も新聞やネット記事で見ます。また、火災をはじめ、ストーブ、練炭等による一酸化炭素中毒(労働衛生許容濃度50ppm,無臭)による死亡例も毎年多く発生しています。


しかし、オゾンではこれらの事故は発生しません。理由は、ボンベから100%のガスとして得られないし、オゾン含有ガスは酸素を含んでいるからです。酸欠、硫化水素、一酸化炭素とは異なってオゾンは臭気でその存在を感じ、多量に吸い込むことはありません。生理的にも短時間では体が動き十分逃げられるし、また、オゾン発生器の電源を切ればなくなり、窓を開ければ空気中に拡散してしまうからです。

オゾンの効果



オゾン応用技術の長い歴史は、浄水での消毒とオゾン医療にあるといえます。フランス公衆健康局は、1964年にポリオウイルス1型を用いて、溶存オゾン濃度0.4mg/Lで4分間の連続処理を行うことによって99.9%が不活化されることを証明しました。また、1967年にはポリオウイルス2型と3型を用いて同様の結果を得ました。この条件が1960年代末にパリ水道のオゾン消毒の標準として採用され、その後、広くフランス国内に伝わったのです。

人体への健康影響を中心にオゾンのことを書きましたが、オゾンの「効果」を考慮すれば、デメリットよりメリットのほうが圧倒的に大きいだろう、ということがいえます。今後もオゾンの技術開発はどんどん前に進み、未来の地球環境へと貢献してくれるだろうと思います。

【オゾン曝露濃度と生理作用】

オゾン(ppm)作用
0.01~0.02多少の臭気を覚える(やがて馴れる)
0.1明らかな臭気があり、鼻や喉に刺激を感じる

0.2〜0.43~6時間曝露で視覚が低下する
0.5明らかに上部気道に刺激を感じる
1〜22時間曝露で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きと咳が起こり、曝露を繰り返せば慢性中毒にかかる
5〜10脈拍増加、体痛、麻痺症状が現れ、曝露が続けば肺水腫を招く
15〜20小動物は2時間以内に死亡する
50人間は、1時間で生命が危険となる