環境ホルモン

環境ホルモン

環境ホルモンとは、「外因性内分泌かく乱物質」の俗称です。つまり、外から体内に入ってきて、ホルモンの働きをかき乱す物質のことをいいます。

ホルモンは生体で分泌される化学物質ですが、環境ホルモンは廃棄物や農薬などに由来する化学物質です。これが動物の体内に入ると、通常のホルモンの働きが狂わされ、オスのメス化、メスのオス化、生殖異常、発生・発育異常、免疫異常など、さまざまな問題を引き起こします。

例えば、ダイオキシンは、甲状腺ホルモンをかく乱し、奇形の発生率を高めるほか、女性ホルモンのエストロゲンや、妊娠に必要な黄体ホルモンの一種、プロゲステロンなどの濃度を変化させるといわれています。ホルモンの作用は微妙なものなので、わずかな濃度の変化でも生体の正常な働きを奪うことがあります。他にも代表的な環境ホルモンとして、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDTなどがあります。

人体への影響も問題に

奪われし未来

奪われし未来


こうした化学物質の新たな恐ろしさが世に知られたのは、シーア・コルボーンなどの3人共著「奪われし未来」やデボラ・キャドバリー著「メス化する自然」がきっかけでした。世界の野生動物が減少しているのは、環境ホルモンによって生殖できなくなり、子孫を残せなくなっていることに原因があるというコルボーンらの仮説は、世界に衝撃を与えました。

これは、米国フロリダ海岸におけるハクトウワシのメスの激減をはじめとする膨大な事例の検証を通して提起された問題で、さらに彼らは人体にも環境ホルモンが作用しているという可能性も警告しました。この人体影響については、実際に男子の精子の数が減っているとする医学雑誌の報告がある一方、過去60年間変わっていないとする調査結果もあります。

国際的な実態把握が必要

環境ホルモンは、環境中では河川水、土壌、廃棄物を焼却したときの排ガスなどに含まれます。自然物質にも合成化学物質にも環境ホルモンは存在し、現在各国で検出状況などの調査が進められています。ただし、地域や国を超えて拡大している問題だけに、環境ホルモンの国際的な調査プロジェクトの必要性も指摘されています。

化学物質の内分泌かく乱作用と環境破壊